台湾に行って感じた、日本と台湾の「職歴」の長さの違い
台湾のとあるビル建築現場へ出張した時のこと、現地の会社の台湾人社長と会食をする機会がありました。
「中華圏では酒の席で仕事の話してはいけない」とテレビで見た事があったので、触れずにいたのですが、社長の話はほとんど仕事の話でした。
その時の話で印象深かったのが、社長の会社で一番長く勤めている人は、「10年」という事。
「彼は仕事をちゃんとやってくれるので信頼している」「安心して現場を任せられる」と社長。
私もそう感じていて、帰る前にすべてをその10年選手の彼に託そうと考えていました。
「やっぱりそうだよね」と思って頷きながら聞いていましたが、他の台湾人の社員は、みな5年未満。
中には、”長”とつく人もいましたので、「あれ?、そんなもんなの?」エンジニアの世界では5年では、まだ素人に毛が生えたくらいでしかありません。
「あなたは何年?」と社長がその場にいた日本人に順番に聞いていました
私を含め、みんな台湾人のそれよりはるかに長かったのです。
「日本の会社はいいなぁ」数年で転職するのが当たり前の国での社長の悩みは社員が長くとどまらない、ゆえに仕事がうまくまわらないという事だったのです。
日本人は転職しにくい?
日本人は「転職しにくい」「転職の習慣がない」この事を日本では悪しき習慣だという議論もあります。
「どんどん、いい条件の会社に転職すればいい」みたいな発言を聞くことが有ります。
はたして、職人の世界、エンジニアの世界にこれを当てはめていいのでしょうか?
何か大きく勘違いしていないですか?
世界規模で見て、創業200年を超える企業の半分は日本にあるという報告があります。
100年以上になると2万5千社以上、そのうち80%が従業員300人以下の中小企業という調査結果があります。
終戦後に起業の50年以上なんていったらもうすごい事になると思います。
こんな日本という国の特殊な環境だからこそ、はぐくまれる職人と呼ばれる技能者を国中のいたるところにたくさん抱えています。
こんな国、世界のどこにもないのではないでしょうか?
伝統工芸品はもちろんのこと、世界でも日本の中小企業でしか作れない工業製品というのは産業界の特定の分野において多岐にわたり存在ます。
最近ではテレビで取り上げられる機会も多くなりましたので、日本人もこの事実にだんだん気がついてきたのではないかと思います。
同じ事をやり続ける。
数年で転職していては到達できない神業の領域があります。
まさに継続は力なり、そんな短期間ではたどり着けないからこそ職人の作り出す一品は高くても購買力を生みます。
【Made In Japan】であること
外国に行くと、「このバックは日本の職人が縫った、だから買え」なんていう説明を聞く事があります。
「なんだその売り方は、こっちが日本人だっていうのに」と思ってしまいますが、工業製品でも、中身は日本製だよ。
といのが殺し文句のように使われる場面がたくさんあります。
世界からみるとMedeInJapanそのものが既にブランド化しています。
何年か前、頻繁に反日暴動があった中国でも、人気がある商品は日本製です。
「MedeInChinaだとしても、彼らは日本のメーカーのMadeIn Japanが欲しいのです」と暴動のさなか現地の人に聞いた事があります。
それは最近の中国人爆買いツアーにより、日本人にも理解され始めていると思います。
多く中小企業、そして職人が支える日本の生み出す商品、サービス、芸術、そのすべてが他の国には出来ない圧倒的な購買力がある事を日本人はもっと理解するべきだと感じます。
とくに政治家の方はこれをよく理解したうえで政策に反映させて欲しいと願います。
圧倒的な軍事力が通貨を支えている一面がある中国の人口は日本の15倍近くあります。
中国政府の発表による国民総生産が本当だとしても日本の2倍です。
そう考えると日本は、世界で一番成功している国だと考えてもおかしくないと思いませんか?
外国を参考に国策を考える必要は無いのです。
ガラパゴス化する事を卑下する必要なんか無くて、むしろ先に行き過ぎて世界がついて来ていないだけなのです。
それはいずれ大きな購買力を生みます。
ぜひ、自身を持って日本独自のやり方を世界で押し通して欲しいと願うばかりです。
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