とても厳しいイタリアの出版業界
イタリアの出版業界の低迷ぶりは、日本のそれを遙かにしのぐといわれています。
初版といえばわずかに1000部。
重版を重ねる書籍は、その中のほんの一部です。
私は読書が大好きなので、やはり読書好きのイタリア人の夫と趣味を共有したいと思いました。
だから日本語で読んだ本のイタリア語訳を書店やイタリア版アマゾンで探すのですが、これがなかなか難しいのです。
一度は翻訳されて出版されても、初版の売れ行きが悪いとあっというまに廃刊となってしまいます。
イタリアで人気!日本の作家
イタリアでの紹介のされ方が良かったのか、イタリアで最も知名度が高い日本の作家は吉本ばななさんです。
彼女の作品は、必ずといっていいほど翻訳されますが、私も夫も吉本さんの作品はあまり熱心に読みません。
逆に、私は日本語ではあまり読まないのに、イタリア人の夫が出版されるのを首を長くして待っているのが村上春樹さんの作品です。
「読み終わるのが惜しい」
というほど彼の作品が好き、という夫ですが、毎年村上さんがノーベル賞候補になるのは納得できない、と言います。
非常に質の高い作品ではあるけれど、ノーベル賞に匹敵する所までは行っていない、というのがイタリア人の見解のようです。
私の夫は理系なので、小川洋子さんの「博士の愛した数式」を探したことがあります。
この作品も、一度翻訳出版されたあと、入手不可能になってしまったのが、なぜか非常にセンスのない表紙となって再版されました。
彼女の作品に漂う透明感や悲しみは、夫の趣味に適ったようです。
しかし、日本では大ヒットとなった「博士の愛した数式」よりも、チェスをテーマにした「猫を抱いて象と泳ぐ」を読んで大絶賛をしておりました。
私は井上靖の作品も探しておりますが、これは一冊も見つかりません。
イタリアでも大変な人気があるのが、三島由紀夫です。
どんな小さな書店でも、彼の作品は一冊は置いてあります。
イタリア人のみならず、アメリカ人も「生涯で読んだ本の中でも最も美しいもののひとつ」と言ったのが、谷崎潤一郎の「細雪」です。
私も今までなんどか読んでいますが、なにしろ時代が時代だけに物語の進行が非常にのんびりしています。
にもかかわらず、とくに「日本が好き」という人たちではなくても、本好きならば絶賛するのが「細雪」のようです。
そしてつい最近、イタリアの書店の最も目立つところに置かれた日本の作家の本が、近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの魔法」です。
私が住む田舎の小さな書店にも並んだくらいですから、コンマリさんの本は世界を席巻したといっても過言ではありません。
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