【私たちが想像する水蜘蛛の術、ほんとうは”浮き輪”だった!?】
忍者といえば、水面を2枚の丸い板でスイスイ進む「水蜘蛛の術」が有名。
でもあれって、実際に可能なのかどうかギモンですよね。
北国で使われるような輪っか状の「カンジキ」を左右の足に履いて、
水面をすべる。それには、相当のバランス感覚を要します。
また、左右の板を縄などで結わえていないと、足が開ききってしまう。
よほど脚力がない限り、大開脚ののち、水に落ちてしまうのがフツウです。
子どもの頃、この「水蜘蛛の術」をビート版で試した人も多いと思います。
私もトライしてみたことがあるんですが、
まずビート版の上に乗って立つことができない。
左右の足にビート版を固定したりもしましたが、やっぱり1秒ともたないんです。
子どもの体重でもそんなものなんですから、大人忍者の体重では
もっと難しいんじゃないかと思います。で、ここで新説!
忍法として古くから語り継がれたこの術ですが、
足に履く丸いもののサイズを間違っていたんじゃないか、とのこと。
実際の寸法はもっと大きなものだったのではないか?と言われているんです。
つまり、足に2枚の板を敷いて水面を進んでいたのではなく、このように水の中にどっぷり浸かり、1枚の板を浮き輪のようにして
お堀などを泳ぎ進んだのではないか?とされているんです。
これじゃ忍術でもなんでもなく、ただの浮き輪泳法になってしまいますが・・・?
【でも忍者って人間離れしてたんだし、水蜘蛛も使えたかも?】
出典 https://ja.wikipedia.org
でも、忍者は現代でいう諜報員、スパイに通じるものがあります。
特殊訓練を日々積み重ねて鍛え上げられた身体でなら、水蜘蛛も可能だったかもしれません。
上の図は葛飾北斎の忍者漫画。こうして1本の綱で家屋に侵入したりしてたということなので、
かなり身体能力は高かったと思われます。ということは、
水蜘蛛の板も乗りこなせていたのかも・・・?
なんて、ちょっと期待してしまうんですね。
出典 https://ja.wikipedia.org
上は、「万川集海(まんせんしゅうかい)」という伊賀の忍術兵法書の1ページです。
家屋に侵入するのに最適な時刻について、細かく記されています。
こんなのを見てると、やっぱり忍者はたしかに存在していて、
その忍びの能力は現代の我々の想像をしのぐほどのものであった、と推察されるんですね。
うーん、なんというロマン!忍者って浪漫です。ところでこの本は現代語訳され、内容が明らかにされているのですが、
その中に以下のような文があります。
「たいてい他の芸では、上達すれば必ずその者の名が外に顕れてくるものである。その名が世に知られているほどの者は必ず一流の者である。 しかしこの術(=忍びの術)は他の芸とは違い、上手と言われているのは中級の忍者であって、良いものではない。ただ、上手も下手も人に知られることなく、切れ者であるのが上級の忍びとされるのである。古語に、水は浅ければ音を立てるというように、深淵の水には音もないものである」
◆参考・抜粋「伊賀流忍者ホームページ」
うーん・・・やっぱりこういうのを読んでいると、
水蜘蛛の術は私たちの想像どおり、
水面を2枚の板でスイスイすべっていたんじゃないかなどと
思わずにいられないのです。
浮き輪泳法ではなく、スマートに夜のお堀を滑るように移動する忍者の影。
ああ、それだけでもうワクワクが止まらない。
卓越した術を持つ忍者ほど、その技は表に出てこないんですよ。
となると、やっぱり想像は膨らみますよね。まさに浪漫です。
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