「直江兼続の兜の文字は”愛”なワケがない!」説について | JOYJOY〇JAPAN
直江兼続(なおえ-かねつぐ)。切れ者の戦国武将、上杉家の家老です。
そして、あの兜のカッコイイ文字で有名ですよね。
あの立物の文字(たてもの:兜の前飾り)、
どこからどう見ても「愛」の崩し字のように見える。でも違ったみたいです。
確かに、命を落とすかもしれない戦場に「愛」の文字はふさわしくない。
そもそも、この時代に「愛」という欧米風なコトバを採用するのもフシギ。
ほんとに「なぜ?」って思ってました。
でもじつは、
愛染明王(あいぜんみょうおう)の「愛」だった説が!
明王とは、密教でいう「仏の知恵を身につけた偉大な者」の称号で、
ふつう明王は憤怒の相を呈しています。
明王は、愛染明王のほかに、
不動明王・降三世明王・軍荼利明王・大威徳明王・金剛夜叉明王・
大元帥明王・孔雀明王・烏枢沙摩明王・馬頭明王(別尊:馬頭観音)・六字明王がいて、
仏の教えに背く者に対しての怒りを、その表情に宿していると言われています。
直江兼続が兜文字に選んだ愛染明王とは、
「煩悩と愛欲は人間の本能でありこれを断ずることは出来ない、むしろこの本能そのものを向上心に変換して仏道を歩ませる」
という功徳を持っているそうです。
戦いも人間の煩悩のひとつですし、たしかに兜文字にはピッタリかもしれませんね。
そして、頭に獅子をいただく姿は”何者にも屈しない強さ”の表れであり、
直江兼続は強い軍神として愛染明王を崇めていた、ということです。
(”愛で染める”と書きますしね)
だから、直江兼続の兜文字の意味を履き違える人が多いのも頷けます。
実際に、「直江兼続のあの愛の文字は、LOVEの意味だ」という人もいるほどです。
でも・・・やっぱり私には、
愛染明王の軍神としての強さを欲していたようにしか思えません。
だって、戦場に愛のココロなんて持ち込めるでしょうか?
そんなヤワ(?)なことでは、相手を殺すことさえできなさそうです。
そして、もう一つの「愛」の由来として、
直江兼続が仕えた上杉謙信にゆかりのある「愛宕(あたご)神社」が挙げられます。
愛染明王の由来でなければ、こちらの説が有力ですね。
ただし、愛宕神社の旧称は「阿多古神社」と表記されたので、
いつから「愛宕」の漢字に変わったのかによって、
この説も信憑性が問われることになりそうです。
さて、実際に直江兼続は、「愛」の字をもって何を主張しようとしていたのか?
こういう語り継がれるナゾこそ、日本の歴史のロマンですよね^^