海外にいて痛感した日本の良い所、悪い所!日本の物について
日本は今”格差社会”と呼ばれていますが、シンガポールはその比ではないことを痛感しています。
タックスヘブンと呼ばれるシンガポールには、世界中から節税のために日本とは桁違いの富裕層が集まってきており、そういう裕福な人たちのためのレストランや施設・サービスが増えてきています。
一方で、工事現場での肉体労働やウエィトレスなどのサービス業を嫌うシンガポール人の穴を埋めるために、バングラディッシュ、パキスタン、フィリピン、インドネシア、中国から出稼ぎ労働者が集まり、低賃金で過酷な労働を強いられながら狭いアパートなどに集団で生活しています。
インドやバングラデシュ系の人たちがトラックの荷台に乗せられて、現場まで運ばれて行くのを見たときは衝撃を受けました。
また、共働きが一般的なシンガポールの家庭ではメイドを雇うのが一般的で、シンガポール人は子供のころからメイドに命令することに慣れており、兵役に行くにも荷物をすべてメイドに持たせて行くというのは有名な話です。
富裕層向けの店が増える一方で、家賃高騰のあおりを受け、庶民向けの安くてうまい店は激減しています。
シンガポールで普通に企業で働く私たち外国人でさえ、家賃や物価の高さにうんざりしているのに、低賃金労働者たちは日々どうやって生活しているのだろうと思わずにはいられません。
シンガポールで教育に携わる仕事をしていた外国人から話を聞きましたが、学歴偏重のシンガポールでは競争は小学校のころから始まり、何度もランク分けされふるいにかけられ、最後に残った者だけが大学に進学できるのだそうです。
シンガポール人の子供たちに将来の夢について聞くと、ほとんどの子供たちが「医者か弁護士」と答えたことにショックを受けたと言っていました。
それは、つまり子供の頃から医者や弁護士レベルの収入がなければ幸せになれないという認識があるからなのでしょう。
「日本人の子供の夢は、電車の運転手、花屋さん、レストランのシェフ、タクシードライバーと様々ですね。
それはどんな職業にも夢が持てる、そういう仕事に就いても普通の暮らしができる、とても幸せなことですよ。」と言われました。
考えてみれば、シンガポールでは、ヤンキーが更生して一発逆転東大合格なんてことはあり得ないのです。
勉強が得意でない子が、スポーツや、芸術の方面で努力し成功するということもシンガポールでは皆無です。
そもそも、シンガポールには勉強以外の才能を育てる環境がないし、それを発揮できる場所もないので、それで食べていくのが難しいのです。
一方、日本では、サービス業に従事する人もみな自分の仕事に誇りを持っており、すし職人でもカリスマ美容師でも一流の「職人」は尊敬され、一般のサラリーマン以上の収入を得ることも可能です。
人生に多くの選択肢があり「職業に貴賤の別なし」の社会であることは、実はとてもすばらしいことだと思います。
日本は税金は高いかもしれないけれど、その分「超お金持ち」ができないシステムであるということは、つまり多くの人が中流の生活を送っているということです。
日本は、 中流が大多数だからこそ、医者や弁護士でなくてもそこそこ幸せに生活できているのではないでしょうか。
シンガポール人は口々に、「日本では安くておいしい店がたくさんある。無料で遊べるところもたくさんある。どんなところに行っても十分すぎるサービスが受けられる。すべての公共交通機関が時間通り正確に運行されている。」と絶賛します。
そう考えると、日本は実は庶民にとって優しい国、庶民でも十分に幸せが感じられる国なのではないでしょうか。
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