日本人は海外から「目が細い(=糸目である)」とよく揶揄されます。
日本の漫画に出てくるヒロインはみんな二重で目が大きいのに、
実際の日本人は、海外(とくに欧米)に比べると目は確かに細めですよね。
これは「大きな目に対する国民レベルのコンプレックスの裏返し」とも取れますが、
日本国内ではかつて、”目が小さい(細い)ほうが美しい”という価値観がありました。
江戸時代の化粧書には、こう書かれている
江戸時代に”化粧書”なるものがあったことも興味深いですが、
さらに興味深いことには、「(目が)あまり大きたるは見苦し」という一節が。
これは化粧法のオハナシで、当時の流行がそうだっただけかもしれません。
もともと目が大きな人をけなすものではなく、
「小さい目のほうがいい」というお江戸の流行だったのかも。
しかし、目の大きな人も「目を小さく見せたい」という一心で
細い目を目指してメイクしていたというからオドロキです。
この浮世絵のような切れ長の一重、これこそが江戸の日本女性の美しさだったんですね。
ですが日本の現代女性の多くは、少しでも目を大きく見せようと頑張っています。
(もちろんコダワリのない人もいます)
どうして当時のまま、美の基準が「引き目鉤鼻」のままでいかなかったのでしょうか。
時代の移り変わりと価値観の違い、海外との差
日本人って、新しい価値観に目がない国民性だと感じます。
古来日本にあるはずもない文化も、日本の色に染めてガラパゴス進化を遂げさせる。
それが良いか悪いかは別として、新しいモノ好きの血が確かに存在します。
初めて海外の女性を目にした日本女性も、同じ心理が働いたのではないでしょうか。
自分たちにないもの・・・つまり大きな目、彫りの深い顔、凹凸のあるプロポーション、
黒以外の髪色、手足の長さ、などなど、すべてが目新しく羨ましく映ったとしても
なにも不思議ではない筈です。
また、日本では「女性=若さが大切」という価値観が存在しますが、
『目が大きい=愛される赤ちゃん顔=女性として魅力的』という思い込みも
少なからず存在すると感じています。その時々で、多少流行の差はあれど、
やっぱりパッチリした目は相変わらず、多くの日本女性の憧れ。
かく言う私自身も、幅の狭い奥二重。けっして大きな目とは言えず、
少女漫画のような瞳に憧れて、10代の頃は二重のクセ付けを必死でやっていました。
薄い皮膚のマブタを傷つけてまで、今思えば愚かだと思いつつも、
それほど瞳を大きく見せることに、相当こだわっていた気がします。
ですが今では、日本人の小さな目もオリジナリティーに溢れていて、
大事にすべきチャームポイントなんじゃないか、とも思います。
糸目と揶揄されようと、「そう、糸目なの♪」と堂々と誇れるほうが
気持ちがいいような気がしませんか?
江戸時代の女性のように、切れ長の瞳を際立たせるメイクを研究するのも
日本女性としての楽しさなんじゃないかな、なんて思っています。
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